大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」【第50回】
NEWS今こそ実践記録を残そう
この時期に、実践記録のまとめをお勧めしたい。日々多忙の為に、疎かにされることが多い。私は幸いに教員4年目の時、管理職から「こんなのがあるけど、やってみないか」と市の教育論文応募の文書を見せられた。
頭のすみにはあったが、文章は得意とは言えないし、書くほどの内容もないしと思っていた。しかし、ある時、担任している学級で、場面緘黙症の男子を受け持つことになった。6年生でもあり、卒業式の呼名で返事が出来るかと取り組みを開始していた。こうした児童への対処をまとめて市内の先生方に拙い実践でも知らせれば、何らかの役に立てると考えた。
書くことへの使命感が湧いてきた。根拠も必要になり、生育歴の検査もして、実際の姿と重ねて見た。アドバイスも多く頂き、何とか仕上げる事が出来た。
その後の教職実践の節目節目に、異動する度に、立場が変わる度に、眼前を見据えると書きとどめなければならない内容は多いことに気が付いた。
結果として、5年毎に実践記録をまとめて振り返り、目標修正を図りながら一歩前進することが出来るようになっていた。校長の時も三校の赴任校で実践をまとめて提出した。校長室では、全国連合小学校会の「教育研究シリーズ」で、私の実践論文が見られるはずである。
自慢ではない。足跡であり、私でもこんなことが出来るのだから是非貴方も、という思いである。
それが今の立場になるときに大きく影響をしている。こうした公の冊子でないと研究業績には認められないのである。多くの日々の実践には宝が沢山埋まっている。是非、この時に挑戦されてはどうだろうか。自分の為には面倒でも、皆の為に、仲間の為に、後輩の為に。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)