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生徒指導~小学校段階での考え方~【第179回】

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「1人を大切にする基本」を見せる

 教師人生、最後まで困難校勤務でよかったとつくづく思う。校長も2校目になると少し安定を求めたくなるものである。定年を迎える学校は最大規模校でその抱える課題も最大級だった。幸いにも教委はこうした主戦場へ配置してくれた。これが自分の慢心を排除させ成長をさせてくれたと感謝している。

 子どもの環境は親に影響される。その親が抱えているトラブルについて担任と共に生徒指導主任から相談されたことがある。
 その家庭には4人の小学生がおり、父親は無職、母親のパートと生活保護で遣り繰りをしていた。
 援助家庭が全校で3割を越えていた地域である。子どもの安定を第一優先に協議離婚と転居転校を進めた。こうした家庭への援助は自治体により大きく異なる。可能な限り情報を収集し、提供した。

 ここからが本番になる。身寄りのない親であった為、立場を最大限に活用して住居を探し、これまでの伝を利用して環境の安定を図る事になった。定期的に連絡を取り、母親の不安を取り去る必要があった。
 一人を大切にする基本を、出来るだけ生徒指導主任を脇に置きながらやって見せる事を試みた。家庭環境への介入はある程度までだ。微妙なイニシアチブの取り方は、やって見せる事でしか伝わらない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~