大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」【第43回】
NEWS「コロナ」と家庭教師
「教え方ひとつで人は変わる」と、最近、実感している。
国語の期末試験が41点の中学生が、5教科で100点にも届かず、不登校気味であるとの相談を知人から受けた。こうした生徒は多く存在している事をよく知っているし、私自身がその域だった。家庭教師を紹介して欲しいと頼まれたが、こういった生徒に向いた家庭教師は皆無に近い。見つかるまで私の都合を調整して教えることにした。
知人も責任を感じて同席するようになった。コロナウイルス問題のため、運よく家庭教師を集中して行う事が可能となった。ひとつひとつを説明し、考えさせるため忍耐はいるが、前三後一で進んでいる。
接しているうちに、考えて身につけることと暗記することの区別が出来ていない為にすべてを苦手色に染めていて、自己嫌悪からさらに曖昧にしてその場しのぎで済まそうとする習性に気が付いた。ここにストップをかけて理解できるようになるまでやる。
先日は、数学の20点台を改善するために、例題を書いて私に説明させ、理解出来たら練習問題へと進んだ。すなわちアクティブ・ラーニングのアウトプットである。分かり始めると目付きも態度もガラッと変化し始める。前のめりになり始めるのである。
こうした個々への対応が出来たなら、勉強を苦手と思い込まされている児童・生徒は激減するだろう。この関わり方は相手に合わせて共に歩む忍耐の中でしかできはしない。そして人生を変えていくことになる。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)