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大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」【第41回】

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論説・コラム

「えせ専門家」に振り回されぬよう

 「専門家の意見を聞きましょう」と、あらゆる処から、メディアからも連呼されている。その専門家が正しい判断をしているのか?それらしく繕って分かりきった事を話しているように見えるときがある。聞けば聞くほど不安になってしまうのは何故か。
 説得力に欠けるからである。しかし、多くの人々は専門家から聞いた内容をよかれと思って他に伝える。それは単なる伝言なので徐々に内容にも尾ひれが付いてしまう。

 3・11の時、連日のように専門家として登場した学者さんとバスで隣の席になった。面識はあったので定年後を聞くと駅近の塾の講師をされるらしい。あの専門知識はお蔵入り?と聞きたくなった。
 とかく専門家の意見を聞いてという答弁を耳にするが、その専門家が名声だけの専門家だった場合は大誤算になりかねない。こうした傾向は学校にもよくある。ある時、行政の研修でクライシスマネジメント専門家を講師に呼んで話を聞いた事があった。
 私は講師へ実際を想定した素朴な質問をした。まるっきり回答になっていないことが明白だった。その後、多くの専門家と言われる面々と懇談や対談を重ねて来たが、納得の域にストンと落としてくれる専門家は稀である。

 それよりも子どもの何気ない回答の方が深いときがある。よって、専門家の意見をと言われたら、失礼ではあるが、私は、それはどなたが話されましたか?と、御名前をお聞きするようにしている。くれぐれも「えせ専門家」に振り回されてはならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」