生徒指導~小学校段階での考え方~【第170回】
NEWS美しい文字を書こう
児童の手元を見る。鉛筆の持ち方で、一番楽に、美しい文字が書ける形になっている児童はわずかである。わざと短い鉛筆を使うとか、手首を折り曲げ覆い被さるようにして書くとか、書いたらすぐ消す事を繰り返すとか、鉛筆の持つ位置が先端に近すぎるとか。こうしたことに対する指導が徹底されていない。
中学年になると、ほぼ修正が出来なくなり、一生の形になる。書き方や書写がいい加減にされている証なのである。
こうした鍛練や修練を新規採用教員は大学でも身に付けてはいない。美しい文字を書けない教師に低学年担任は任せられない。また、本来は家庭でも徹底すべきと思う。
主観ではあるが、優秀と言われる方々に文字の歪な方が少なくない。そこに価値を置かなかった結果とも思えてならない。文字を記号から芸術にしたあの王羲之も苦笑しているだろう。
文字が乱れると姿勢も乱れる。低学年の指導で文字、姿勢、言葉遣いをはじめ、下足箱、傘立ての整頓などは、丁寧に誉めながら教えることが一生の基盤となる。
「字が上手くないので」と思うなら、今からでも始めればいい。言い訳は醜い。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)