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生徒指導~小学校段階での考え方~【第168回】

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議員対応でクレーム

 医師と議員と小学校教師の中では誰が偉いのか。愚問であるが、教委職員は議員を「先生」と呼ぶ傾向が何故かある。
 また、学校医を怒らせないようにと、こちらもかなり「平身低頭」になって扱う傾向がある。こうした振る舞いを見た子どもが「先生より何がそんなに偉いんですか」と聞いてきた。どう説明するか。

 校長時代のことである。アポなしで首長と市議が突然来校した。私は児童の生活指導の最中であった為、教頭が伝えに来たが対応はしなかった。指導を終え、用件を確かめると、体験授業を視察に来たことが分かった。
 するとその対応にクレームが入った。よくあることだ。
 教員は児童の保護者の税金に雇われているのであり、児童を優先するのが本筋である。首長や市議に雇われてはいないので、当然の事をしただけである。

 後日、副会長を務めている町会の役員会に首長と市議が挨拶に来た。先のクレームの件を逆に問いただした。自分達の指示ではないと必死に弁明された。
 こうした力関係が何故か存在する。本当の偉さとは、肩書きをすべて取り去ったときに残るものである。政治や行政の為の教育ではない。教育の為の社会にせねば益々おかしくなる。教師に礼節は必要だが、意味なく媚びへつらっては生徒指導にはならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~