大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」【第28回】
NEWS大きな「雹」が降ってきた日
災害時の長の判断は、生死を分けることになる。よく八甲田山の雪中行軍の悲惨な事実が話題にされるが、こうした判断はその大小によらず日々行われている。
今も思い出すのは、給食の準備の時、近隣に急な黒雲が発生し、大きな雹が降りだした。館内放送で「窓から離れなさい」と連呼した。あっという間にガラスが次々に割れた。
まずは、怪我や被害状況を把握した。そして、即刻復旧を念頭に、少し離れた場所にあり、取り引きがあるガラス屋さんに連絡を入れた。その地域に被害はなく修繕の手配が出来た。
児童の帰宅については漏電の可能性も考えられたため、生徒指導主任と私とで安全確認が出来るまでの児童待機を校長に進言したが、訳もなく却下された。国の災害担当として多くの被災現場の指揮をしてきた経験も聞き入れられなかった。
せめてもと、家族が帰宅していない児童を把握し校内にとどめた。夕刻、教委が破損箇所の確認に巡回して来たが、本校だけが定時退勤しており、ガラスの手配も済んでいたことを誉められるかと思いきや、「断りもなしに」と叱責された。
この180度違う判断と対応はその後、様々な機会に出会うことになる。如何に教育現場が現実的な対応に疎いかを痛感する事が続いた。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)