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大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」【第25回】

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記述式問題の難しさ

 採点の懸念が解消出来ず見送られた大学入学共通テストの記述式問題について、様々に論議されてきた。これは論文の採点に携わった者なら明らかに想定されたことである。政治はこうした先走りをよくやらかす。
 だからこそ青年は政治をよく監視せねばならない。持論になるが行政権から教育を独立させて教育権を設け、四権分立にせねばこうした愚かな事が何度も繰り返されると考える。

 以前、教員採用試験の論文で、採点基準が曖昧になりそうな時があった。人に任せるとばらつきが出ると判断し、1000本を越える論文をすべて一人で採点する責務を引き受けた事があった。
 様々な角度から何度も見直した。経歴や出身大学などの情報は見ずに、論文から人間性を構成する域まで読み取り、踏み込んだのである。可能な限りの公正な判断力を支える自己の心身の維持は容易でなかった。

 結果として、よき人物が採用出来たことが後に様々なデータからはっきりした時には心から安堵した。
 現在も学生達の感想文から様々な人間性の要素を評定する取り組みを、心理学を専門とされる先生のデータと重ね検証している。
 また、自己採点はいうまでもなく曖昧である。非認知能力を数値化する事が出来るのか。ある程度までは出来るだろうが、かなり困難だと思えてならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」