大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」【第18回】
NEWS修学旅行の仕様書はきちんと
大分で修学旅行を一社が独占していたと報じられたが、決して驚くことではない。複数の業者から見積りを取ったことにして書類を出させても、実際は帳尻合わせに過ぎない。こんなことはほとんどの管理職は知っている。
問題は、仕様書をきちんと書けないと、合法的に一番安い業者が落札することだ。一番安いから良いというものではなく、子ども達にとって教育の効果という視点からも金額に変えられないものはある。これを書けないようにされると、どうにもならない。
ある市では、市議が経営するA社の所有するバスを使い回すため、安価になりほぼすべてを独占した。質も悪くガイドも劣悪だった。仕様書の表記にも縛りがあり、表記の限界があり改善できなかった。この表記の制限にどこかからの圧力を私は感じた。
B市は、すべての小学校の林間学校が同じ業者で、校長会の担当が期日を指定して実施するシステムになっていた。学校で林間学校の実施日を決められなかった。この理不尽を指摘したが、誰もが口を閉ざし、阻害と圧力の風が吹き出した。
現地には旅行会社のスタッフが先回りして、飯盒炊飯の段取りをすべてされていて、教師は世間知らずもあり楽なため長年指摘をしなかったと思えた。さらに校長会の親睦旅行には、その業者から寸志が長年出され、時代錯誤を指摘した翌年からは参加しなかったが口封じの風は激しくなった。
また、退職後、名の知れた校長を所長にする旅行会社等や、教員の退職金を狙った銀行なども高額な待遇で要職を経た退職校長を配置している。見え見えの忖度が働くエリアである。
これらはアウトとは言わないが節操がないように感じられて、ニヤニヤ笑みを浮かべるたびに本性が露になっているように見受けられ残念に感じてしまう。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)