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大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」【第5回】

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LGBTを考える

 性自認と性的指向に分けてLGBTを理解するヒントとして、多くのカテゴリーから、その代表的なものを説明してきた。
 さらにその説明を当事者にして頂き、その後、当事者のXジェンダーと自認する青年に、ゲイの年配がその思いをインタビューする形を取っている。そこへ私が聴講者の様子を伺いながら、様々な事例を提示し他人事にしないように切り込み仕掛けていく。
 こうした対談式の研修を試みて、早6年目となる。基本は聴講者の様子を見ながらシナリオを考え変化させていく手法である。分かった気になっているのは何か、どこを深めたら行動化を促せるかと、高速で考えて言葉や指示や質問を出していく。
 その際の手応えは、聴講者個々の目にある。それは校長を務めていたころ、高学年児童と保護者を相手にした「いじめの可視化の授業」の際に身につけた感性と手法であるが、益々好評を得ている。
 分かった振りでは、こうした人権のエリアは対処出来ない。そして間違ってしまった時は、率直に謝る姿勢が基本になる。
 これを意外と教師は苦手にする変なプライドがある。性はまさにグラデーションで多様である。女らしくとか、男らしくではなく、「人間らしく」と表現することを徹底したい。人権とは、誰一人取り残さないというSDGsの前提を再認識して、先ずは自らがよく勉強し、分かりやすく伝える事が私に与えられた使命と感じている。
 講話依頼や相談は、日本教育新聞編集局へお気軽に。
(おおくぼ・としき 亜細亜大学特任教授。千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

大久保俊輝の「休み中に考えたい学校問題」