生徒指導~小学校段階での考え方~【第111回】
NEWS担当者を育てるには
生徒指導担当は体育系や強面の猛者は不向きである。これまでほとんどが剛を剛で制してきた感がある。剛には限界があり短絡的になりかねない。
こうした面々が一同に集まると反社会的勢力かと勘違いされてしまう。すなわち知らぬ間に人相が悪くなるのである。
相手の気持ちを察して適切に対応できる感性を持ち、私利が少なく、是々非々の決断ができ、さらに全方位的な視野を持った人が向いている。
初任でもこの素地を持っている者は時にいるが、その後、意図的に鍛えないとまるっきり伸びない。できる限りそばに置いて、考えさせ、論議し、責を委ね、心血を注がないと本物にはならない。やがて偉ぶり、亜流になる。
異体同心という名言があるが、まさにその域にならねば、後継は育たない。生徒指導はこうした人材育成を基本とする。
人は命ある限りいくらでも成長するし、失敗も重ねる。その絶妙なる采配は藤沢周平の鬼平犯科帳に学ぶことが多い。厳しくも愛があり、何と言っても采配が粋なのである。
詰まる所は人の判断になる。法としては見過ごせないが、人情として見て見ぬふりも必要になるときがある。もちろん腹は括って臨む。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)