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生徒指導~小学校段階での考え方~【第110回】

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身内に厳しく

 生徒指導は自己指導から始まる。あなたは、身内に厳しく対処するかと問いたい。できればそうした事態には遭遇はしたくはないが、致し方ない時がある。その際どう処理するかで本性が浮き立つものである。
 前任者の不祥事が発覚し、報告をしたことがある。相手は、「できれば聞きたくなかった」と応じ、さっさと電話を切られた。側近の不祥事に慌てたのだろう。普段から注意喚起しているのに、いざとなると姿を消すことはよくある。

 「事」が起きると、腹を据える人と、保身に入る人がはっきり見えてくる。
 同じ横領であっても自治体で処分は大きく異なる不思議がある。何とか履歴に残らないように仲間内の厳重注意等の形式で済ますから、忖度が仲間内に浸透し、コントロール不全となり、日常化してしまう。
 生徒指導は突き詰めると自己との対決であり、自分を計算に入れない損をする覚悟が求められる。

 ここで、損を知りながらも義に生き抜いた西国の武将を紹介したい。その子孫が今も同じ地に400年以上も地域と共存共栄している歴史があることはあまりに知られていない。
 その名は「立花宗茂」(戦国から江戸初期の大名、筑後柳河初代藩主。関ヶ原の戦いで改易後、大名として旧領を回復した史上唯一の武将)である。
 先日、現当主と懇談した。宗茂はとても不器用で、一重に義に厚く、人の筋を通し、人情が深く、虚勢を嫌い、武勇は秀吉・家康に日本国無双と評されながらも、家臣や郷民を先とした見事な生きざまに、生徒指導の本質である自己指導能力が現代に浮き出てくる気がした。生徒指導の重要な判断を学ぶことができる。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~