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生徒指導~小学校段階での考え方~【第82回】

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非常時に出る本性

 リーダーの資質が試される場面について考えると、特に非常時に本性が出るものである。災害時に学校を教頭に委せて、校長が自宅へ帰ったとしたらどうなるだろうか。今回の台風に関して、千葉の知事の言動はそうなる。
 最高責任者には判断が求められる。代理や代行を立てることは、死亡や寝たきりなど勤務につけない時に認められる。教育立県千葉を掲げ、パフォーマンスは役者としてうまくとも、報道が事実なら言い訳は醜い。自分はごまかせない。

 全体の奉仕者としてその職責を全うする訳だが、おかしな素行は当然周りも気付いていたはずである。それを言わない。言えない。言わせない。そうした体制を含め、何万人もの命を預かる者として、資質に大きく欠けることは明確である。
 こうした人物を選び、育てた責任は誰にあるのか、この言動が今後どのような展開を見せるかを注視しながらも、報道の策に乗らずに冷静に見届ける必要がある。

 残念なのは、いつも週刊誌の記事で始まることである。コンプライアンスを先導する内部から出されないのはなぜか。「守るのは誰で、守られるのは誰かを教えなければならない私利の集まり」と小学生でも指摘するだろう。
 事実が明らかになった時を見計らって、不利益を受けたかもしれない千葉県民は、家庭や学校で主権者教育の資質を養う身近な教材になる。ただし、単なる批判で終わらせてはならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~