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生徒指導~小学校段階での考え方~【第69回】

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相手の前進が醍醐味に

 生徒指導の醍醐味とは何だろうか。担当した相手が一歩前進したことに尽きるのではないだろうか。その場しのぎの対症療法なら経験を重ねれば、ある程度は出来るだろう。しかし、上部のメッキに過ぎない。
 人の根に差し込むような指導となると、深くて厚い心が伴わないと、糸を束ねた絆とはならない。よく生徒指導担当者の中には格好をつける者がいる。滑稽に見えるが、それも過程としてはよいだろう。

 外見の繕いは、内面の貧弱さを象徴する場合が多い。よって芯を見抜き訓練する必要がある。では、どうやって訓練をするのか。
 簡単である。腹を決めて、腹を据えて、微笑みを浮かべて人にも、物にも、ことにも当たることである。強がる人ほど素直な感謝が出来ない。弱い犬ほどよく吠えるという言葉に似る。

 今回の教員採用試験でも、多くの教え子が二次選考を通過し、採用内定を勝ち得てくれた。これは本来持っていた力を引き出しただけである。採用100%近い結果とその後の伸びには目を見張るが、素直に実践をした彼らの生きる姿勢が招いた結果である。
 中途で離れた者で目標を達成したものは、これまで一人もいない。まずは、自らが向かい風にも踏ん張って足を出し、一ミリでも前に出る習慣が、人の本質を見抜く訓練につながる。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~