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生徒指導~小学校段階での考え方~【第57回】

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「もの隠し」と「ゆがんだ達成感」

 面白がっていじるのか?嫌がらせでいじるのか?知らぬ間にやるのか?腹いせにやるのか?仕方なくやるのか?巻き込まれてやるのか?と、動機がどこにあるのか?さらにどの位置でやるのか?複合の要因なのか?何気ない「いじり」から始まる。さらに面白がって「噂を立てる」尾ひれがついて相手を追い込む。さらに「もの隠し」も始める。
 相手があわてたり怒ったりする姿を面白がって、「うそ」をまき散らし、相手をコントロールしていく。
 現代人が抱く欲望のうち、人を自由に動かしたい欲望が最強と言われる。その予兆を見抜けないようであってはならない。教え子から犯罪者、自殺者を出してはならない。
 このことは、事件報道に接するたびに痛感し、職員に訴えてきた。担任と教え子の関係は一期一会にして一生担任なのであるから、絶対に見放さない心構えがなければならない。
 噂には、多分に悪意が含まれる。フェイクニュースやいわゆる評論家のコメントも同類に近い。それらが学校で顕在化するのが「もの隠し」である。
 消しゴムがない。靴がない。傘がない。体操服がない。こうなると、やった者とやられた者が存在することになる。
 やられた方の感情は、おびえ、不安、怒りが交錯する。
 やった方は、悪意を感じながらも目的を達成し、ゆがんだ満足感を感じる。この邪な芽の根絶は小学校で徹しておくことが一番効果がある。経験上、3年生から4年生にかけてが適時と感じている。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~