生徒指導~小学校段階での考え方~【第53回】
いじめの「種」を拾う
いじめ件数の増加は右肩上がりで止まらない。ここで問題なのは、件数はもちろんだが、解決に向けた対処にある。アンケートに書かれていた数がカウントされているが、書きたくとも書けなかった数は見えない。すなわち未遂・未確認は計り知れない数になる。書いたとしても、対応しないで事件になるケースが目につく。
SNS等を活用して把握するシステムを導入している自治体も増えているが、それでも十分とは言えない。いじめは「軽いからかい」から始まると私は見ている。よって子どもの表情には注意を払ってきた。嫌がっていると感じたら、即指導を入れた。このいじめの種を放置しないことが、学級の風土になり、子どもたちの風土になって行く。
初任の頃、隣の学級で、皆からのいじめを避けて注目を受けたい、わざと片足を引きずる子どもがいた。担任は、その仕草が直せずに1年後には足の長さがそろわずに、今でも片足を引きずっていると聞いたとき、私を含め担任や養護教諭の指導が曖昧であったことが悔やまれる。すなわち不幸の種を放置した罪は因果となって我が身に返ることを心したい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)