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生徒指導~小学校段階での考え方~【第37回】

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教科・指導

盗癖(上)

 人のものを盗むのはよくない。これは当然のことだろう。ところが、欲しいものを自分ものにするという行為は大人社会に横行している。合法か非合法かの基準も世界を見ると曖昧ではないだろうか。先住民、植民地、侵略者と歴史を見るとその繰返しのようで人間の性とも感じられる。
 さて、友達の消しゴムをポケットに入れてしまった1年生の担任だったらどうするか。どのように聴いても自分のものだと主張する。担任が本人を連れて校長室にやって来て、この子はそんなことはするはずがないと抱きしめながら担任が涙を流した。児童も、自分の行為が先生を泣かせてしまったと感じたのか共に泣いていた。
 しばらくすると、ポツリポツリと自分が取ってしまったことを話し始める。
 これを単なる責めや恫喝で叱ると観念しない。「もうしないよね」の問に、「もうしない」と言わされるだけで、心から改心してはいないため繰り返すことが多い。この時期、身を呈して行う生徒指導の一例である。ここも大好きな先生であることが、指導の効果を決める。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~