生徒指導~小学校段階での考え方~【第33回】
教科担任制と「社会教育士」
小学校にも教科担任制を展開している学校はある。私も15年前に導入していた。さらに40年近く前にも家庭科と体育科でやったことがある。
この取り組みから子どもの特性が目に見えて、適材適所の結果、一度も勝ったことのないサッカー市内大会で3位に輝き、絵画や音楽と次々に際立った成果が続いたことを思い出す。もちろん、生徒指導の機能も発揮された。複数の目で見る効果は、システム上、小学校が一番有効かつ有益のように思える。
翻って、中学や高校を小学校のような担任制にしたらどうだろうか。現在は何でも専門に分けすぎたため、分断され機能せずに実学となる総合的な学習がいっこうに具体化されない。しかし、中江藤樹を始め、私塾は教師ひとりに多くの塾生が集まり、短期間に様々なことを学び切磋琢磨し時代を背負い動かした事実を私達は知っている。
青年に託す意味からか日本でも主権者教育が始まったが、政治へのシラケムードは否めない。未来をつくる教職にあってはゼミレベルで収めるのではなく、寝食、苦楽を共にして、師弟同行で学ぶのが望ましいと私は常々思っている。
その意味で、長期の体験活動等が有益であり、今後、新しい社会教育主事講習を修了し、「社会教育士」の称号を併せ持つ教師の活躍に期待したい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)