日本最大の教育専門全国紙・日本教育新聞がお届けする教育ニュースサイトです。

生徒指導~小学校段階での考え方~【第6回】

NEWS

教科・指導

臨床心理士の力量(上)

 スクールカウンセラーは、いないよりもいた方がよいとは思う。だが、現状のままでよいのだろうか。当初、不登校対策などのために、大学院の修士課程から実務経験を経た臨床心理士が様々に配置された。しかし、不登校は減らない現実が続いている。すなわち効果は疑問なのである。それよりも不登校を増やす要因にもなりかねない現状が起きてはいないかと問いたい。
 臨床心理士の配置により、専門家へと依存するようになったことにより、教師個々の課題解決力の衰退が起きているように感じられる。
 生徒指導は、臨床心理士の所管範囲とかなり重なる。様々なケースを想定して住み分けと重複を協議しておくことが基本になる。しかし、ただ任せている学校は少なくない。ことが起きてからあわてるのである。そうした学校では、日頃から最悪の事態を想定せず、人の不幸は他人事であり、ゆでガエルになっている。
 さて、頼られた臨床心理士はその期待に応えられるのか。初任と変わらない者もおり、力量や経験の差はどうにもならない。小学校における生徒指導は、保護者との絡みがかなり多くなる。ある意味、保護者を含めて対応しないと、信頼は得られない。行政は政治に目配せしながら、学校現場の実情を考慮できずに、安易に物や人を配置して済ます傾向がある。
 政治も行政も、教育のため、教育現場の充実や安全、安心のためにあるのであって、勘違いをしている節が多く見受けられる。それは組織として上位にあるという意識があり、学校も上位のことは聴かねばならないと安易に考えている。トップダウンや多数決では判断を間違えてしまうことは少なくない。慢心を排し少数意見にも耳を傾け、真摯に進言を受け止め、誠実な協議を経てこそ、組織は主体的に機能するものである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

生徒指導~小学校段階での考え方~