「主務教諭」の制度化より外国籍教員に目を 研究者ら緊急声明
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今国会で審議中の法案をめぐり、一橋大学の田中宏名誉教授らが呼びかけ人となって、教諭の上に新しい職として「主務教諭」を設けるよりも、外国籍の教員を「常勤講師」でなく、「教諭」として任用することを優先するよう求める緊急声明をまとめた。日本国籍を持たない人は多くの自治体で教諭としては任用されていない現状から、主務教諭への任用も難しく、教員全体の処遇改善の枠から外れることを問題視した。
この声明は28日に国会で開いた集会で決定。衆議院文部科学委員会所属の議員などに提出するとしている。
集会での発言などによると、東京都、川崎市、さいたま市では、国籍を問わず教員採用選考に合格すれば、教諭として採用される。これら以外の自治体では、日本国籍がない場合、「任用期限を附さない常勤講師」として採用される。職務内容や待遇は教諭と変わらない。
だが、管理職への登用の道が閉ざされるなど人事面で差が出る。
近年は、主幹教諭、指導教諭といった職種が創設されたが、常勤講師の場合、これらの職に就くこともない。今後、主務教諭が制度化されると、現在よりも多くの教諭が昇任し、生涯年収にも差が広がっていくことが見込まれるという。
一方、集会では、東京都の中学校に勤務する韓国籍の教員がビデオメッセージを寄せ、教諭として任用された後、現在は、主任教諭を務めているとした。