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事例で学ぶ! 発達障害のある高校生の進路指導ガイド

13面記事

書評

(独)国立特別支援教育総合研究所 編著 伊藤 由美・榎本 容子・小澤 至賢・相田 泰宏 著
社会へつなぐ指導・支援を提案

 高校での通級による指導の制度化が平成30年4月。また「学習面又は行動面で著しい困難を示す」高校在籍生徒の推定値は2・2%(令和4年通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査)である。高校も特別な支援が必要な生徒に対応する場面が増えてきている。
 本書は、(独)国立特別支援教育総合研究所が令和3~5年度重点課題研究としてまとめた「高等学校における障害のある生徒の社会への円滑な移行に向けた進路指導と連携の進め方等に関する研究」をベースとする。高校、関係機関、大学、企業などへの調査を通しての研究の知見を基に「発達障害等」のある生徒の進路指導の在り方を提案した。
 進路指導の充実のポイントには、

 (1)組織的対応
 (2)自己理解を促す指導・支援
 (3)自立と社会参加への力を育む指導・支援
 (4)進路先決定を支える指導・支援
 (5)連携による支援

 ―を示し、それぞれについて解説。生徒自身が「発達障害等」を認識していない、保護者が障害を認めない、他機関との連携は…。進路指導の困難はさまざまだが、指導充実のポイントを押さえた事例を併せ読むと、理解しやすい。
 重点課題研究では、特に、全日制普通科での必要な指導・支援、関係機関との連携を課題として指摘している。「発達障害等」を理解し、多様な生徒に応じて進路指導を充実するための一助にしたい。
(1650円 明治図書出版)
(矢)

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