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小学校と中学校の英語教育接続に関する実践的研究

14面記事

書評

渡慶次 正則 著
文法・単語指導など幅広く分析

 小学校での英語教育は、東アジア地域では後発であるものの、総合的な学習の時間での国際理解教育、5・6年生での外国語活動の実施を経て、現在は3・4年生が外国語活動に取り組み、5・6年生が教科・外国語を学ぶようになるなど段階的に発展してきた。
 ”英語嫌い”を生まないよう英語に慣れ親しむことを主に実践し、この間、指導者の確保が課題となり、4技能を学ぶ教科化によって、中学校の教育内容との接続も課題として浮上している。
 本書は5部構成でこうした諸課題に焦点を当て、先行研究を含め、著者自身の研究による知見から対応策を示す。
 小学校の検定教科書と文科省発行テキストを分析し、発音や表現、文法規則、文字指導と単語指導の在り方を探る。実際の小学校英語授業での教師と児童とのやりとりを解析し、教師の発話と役割を考察した。小学校と中学校との指導のつながりでは英語教員養成課程の内容、小・中学校での英文法指導、単語指導の接続を分析。小学校英語教員については養成と研修、オンラインを利用した現職研修を通して成果と課題などを取り上げた。主に文献研究として第2言語の学習到達度と年齢などとの関係の再検証も試みている。
 広範な内容が収められているが、これからの小・中学校での英語教育の在り方を考えたい読者には、有益ではないか。
(3300円 ひつじ書房)
(矢)

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