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子ども家庭支援の理論と方法 保育・子育て・障害児支援・社会的養護の動向をふまえて

19面記事

書評

渡辺 顕一郎・金山 美和子 著
各組織・機関の連携・協働は

 本書は「子ども家庭支援」を、子育て家庭に対する支援、保育・子育て支援、障害児支援、児童虐待への対応に分節化して、それぞれの支援の意義や政策動向を整理するものである。全体的に共有すべき内容については第1章にまとめられており、第2章以降の各論が続くという構成になっている。
 私的領域の最たるものであり、社会の変化の影響を受けやすい家族・家庭をどう捉え、どう支援して子どもの育ちを保証するかは重要だが難しい。家族・家庭の機能が幅広く、多様な要素の影響下にあるが故に、どこかの機関や組織が単独で支援をやり切るのは難しく、必ず連携・協働の場面が生じる。各章に挙げられる課題と支援の内容理解を足掛かりに、相互の連続性(例えば、保育や子育て支援の組織・機関の機能が子育て家庭の支援に及ぶ様子や、障害児支援と子育て支援の接続関係など)や、各課題への支援と未然防止の連続性などが意識できると、連携・協働の理解を深めるような読み方もできよう。
 併せて、「子ども家庭支援」の理解・把握において重要な点としては、国の制度と地域の実情を照らし合わせておくことが挙げられる。本書で確認した国の政策全般の動向を、読み手の勤務地や居住地における具体的な制度や組織・機関と対応させてみるといった読み方は、学びを深めるだろう。
(2200円 金子書房)
(川上 泰彦・兵庫教育大学教授)

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