学校運営の法務Q&A
19面記事
島田 陽一・河﨑 健一郎・西野 優花・早稲田リーガルコモンズ法律事務所 編著
ハラスメント対応など解説
教諭と管理職の間には深くて長い川が流れている。この川を「マネジメント・リバー」と呼ぶ(評者説)。この川を渡った向こう岸には今まで経験したことがない学校経営の新境地が待ち構えている。そこには教育運営の専門性と管理職としての押さえておくべき根拠となる法務知識が必須である。
これまでも学校事故などの伝統的なクライシスマネジメントはあった。しかし昨今、SNS対応などの新たな課題が急増し、スクール・コンプライアンスが厳しく問われる時代となり、法的な観点からの判断が求められている。
本書は、教育現場で実際に起こり得る法的問題をQ&A形式で解説したものである。そもそも目次が「Q」となっており、労務、危機管理、権利処理、ハラスメント・ダイバーシティ、組織運営、大学・専門学校、小中高等学校、幼稚園・保育園、学校関連法人の9のカテゴリーと100の典型的な事例で構成されている。「A」では実務に即した解決の指針を実務経験豊富な弁護士が解説している。例えば「Q47保護者からのハラスメント」に対して、電話対応の限界、対応終了の時間の設定、文書回答の原則、というように現場の実務に役立つ具体的な解決策を提供している。
「マネジメント・リバー」を渡った人、これから渡る人が常に側に置きたい「学校法務センター」のような本である。
(4400円 旬報社)
(青木 一・信州大学大学院特任教授)