一刀両断 実践者の視点から【第663回】
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臨時免許状の有効期限
埼玉県の県立高校で、免許が失効した非常勤講師が、そのまま勤務を続けていたことが発覚したという。この講師は有効期限付きの臨時免許状を持っていたが、期限が過ぎていたとの報道がある。この問題から、教員免許制度の矛盾が浮かび上がる。
免許制度は徐々に緩和されてきたものの、臨時免許の有効期限が3年とされる明確な根拠は不明だ。臨時免許を申請する際には、講師本人が収入印紙を自己負担しなければならず、その費用は税として県に入る。本来、教員を必要としているのは学校側なのに、なぜ採用される側が負担しなければならないのか疑問が残る。
また、そもそも正規の教員を配置しないのは採用側の問題であり、講師側の責任ではない。それにもかかわらず、臨時免許の有効期限を3年と定め、「あくまで臨時の措置」という扱いを続けている。この制度は現実に即していない。
教員の資質や指導力に問題があれば、期限に関係なく任用しなければよい。しかし、授業に問題がないのなら、3年という期限を設ける意味はどこまであるのだろうか。
制度が現実と合っていないことは明らかだ。それなのに、なぜ改善されないのか。制度設計者側の怠慢と言わざるを得ない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。千葉県教委任用室長、主席指導主事、大学教授、かしみんFM人生相談「幸せの玉手箱」パーソナリティなどを歴任。教育講演は年100回ほど。日本ギフテッド&タレンテッド教育協会理事。)