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なぜかきらわれない生徒指導

16面記事

書評

前 哲央 著
「望まれる先生」など考え方示す

 中学時代は思春期を迎える多感な時期であり、生活指導に関する問題が表出しすい。
 著者は中学校教諭である。新採用の年、とても苦労したという。生徒にはめちゃくちゃに言われ、授業もうまくいかず、当然、生徒との人間関係は全くつくれない。その状況を脱し、少しでも教師としての力を付けて、学年、学校の役に立ち、生徒のためになることができるようにと、生徒から慕われている教師や、反対になかなか慕われない教師を観察し、著者は一定の結論を導き出した。それが、第2章「きらわれないためのアクション」で具体的に示されている。
 例えば、「『自分がどのような先生になりたいか』ではなく、『生徒はどのような先生を望んでいるか』あるいは『どのような先生であることが生徒のためになるか』という基準に従って行動すればいい」「腹を立てて言うのと、心配して言うのとでは、伝わり方がまったく違う」など、生徒の心情を踏まえた上での著者の考え方は、まさに多くの教員が共感できるものではないだろうか。
 「あとがき」には、「本書でお伝えした考え方は、生徒指導的に困難な学校、配慮や支援が必要な生徒が多い学校、荒れたりすさんだりしている学校にこそ必要だ」とあるが、学校環境を問わず、多くの方に読んでもらいたいと思える一冊である。
(2343円 東洋館出版社)
(小山 勉・東京未来大学特任教授)

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