一刀両断 実践者の視点から【第661回】
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教員の転職
ある自治体で中途退職した職員の半数は教員であり、その理由は「転職」が多かったという。こんな事態が起きていたことに驚く。対策は講じられているものの、予防策が十分ではないように思う。
特に、50代の退職理由として「転職」とあるのはなぜだろうか。さらに、彼らはどこへ転職したのか知りたくなった。
この年代は採用数が少なかった時代にあたり、多くが管理職にならざるを得ない層である。その層が退職すれば、学校の運営や教育の質の維持が極めて困難になるはずだ。各年代にはそれぞれの役割があり、意欲を引き出す工夫が求められる。
かつては早期退職にメリットがあったが、今は状況が異なる。そのため、退職理由は個人の事情によるものと考えられるが、過度な業務負担が影響している可能性もある。
それよりも、退職金を受け取り、健康なうちに別の仕事をしながら気楽に過ごしたいと思うのは、無理もないのではないだろうか。
定年後、年金を受け取る前に亡くなる教員は少なくない。特に校長経験者の死亡率が最も高いようである。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。千葉県教委任用室長、主席指導主事、元大学教授、関東私立大学教職研究協議会教員採用部会長、かしみんFM人生相談「幸せの玉手箱」パーソナリティなどを歴任。教育講演は年100回ほど。日本ギフテッド&タレンテッド教育協会理事。)