一刀両断 実践者の視点から【第660回】
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教員の「不祥事」と「不足」
中学校教員が元教え子に性的メッセージを送っていたことが分かったのにもかかわらず、代わりの教員が見つからず、引き続き、授業を担当していたという記事には驚いた。
教員不足が背景にあるとしても、市教委の対応は明らかに問題がある。これは幇助と捉えられても仕方がない。市教委の職員を臨時的に派遣する、あるいは兼務させるなど、代替策は考えられたはずだ。それすら「できなかった」のか、「しなかった」のかを明確にしなければ、同様の事態が再発しかねない。
免許外の教科を担当させることで急場をしのぐことも可能だが、中学校という特性上、校長が判断を躊躇した可能性もある。
それにしても、こうした問題は必ず発覚するにもかかわらず、なぜこの教諭は授業を続けたのか、理解に苦しむ。一方で、教員免許制度が柔軟な対応を妨げている可能性も考えられる。
もし管理職がどの教科でも指導・助言できるスキルを備えていれば、授業の代行もさほど困難ではないのではないか。
この件に関して、市教委の対応に同情の余地はあるのだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。千葉県教委任用室長、主席指導主事、元大学教授、関東私立大学教職研究協議会教員採用部会長、かしみんFM人生相談「幸せの玉手箱」パーソナリティなどを歴任。教育講演は年100回ほど。日本ギフテッド&タレンテッド教育協会理事。)