一刀両断 実践者の視点から【第656回】
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公立学校長不在の審議会
中央教育審議会の委員任命があり、委員の中から公立学校長がいなくなったとのことである。大学学長の増員によって何を求めるのか。それでは、ますます学校現場から乖離してしまうだろう。そして、御用学者と揶揄される事態にもなりかねない。
学校現場の意見が表に出ると都合が悪くなるのは明らかであり、それを避けたい気持ちも理解できる。しかし、こうした中教審のあり方こそが、現在の教育の混迷を長引かせている原因ではないか。
教育委員会を単なる「委員会」として位置付けている時点で、すでに蚊帳の外に置かれている。人づくりを国の根幹に据えられない現状では、教員の待遇改善も後回しにされるばかりだ。そのような中教審ではなく、現場の視点を持ち、実態に即した提言ができる委員を迎えるべきである。
そうでなければ、学校現場はますます混乱し、ひいては日本全体の弱体化を招くことになるだろう。まずは、中教審の委員全員が困難校を経験した上で、意見を述べるべきではないか。机上の理論だけでは、何も変わらない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)