加湿器を始めとした空気調和設備で、良好な室内環境を実現
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天井埋め込み式で美観性に優れた「てんまい加湿器」
東京都港区立赤羽小学校
冬季の暖房による教室の乾燥を防ぐために、学校の新築・改修時に業務用加湿器を整備することが欠かせなくなっている。そこで、新築時に導入されてから2年目の冬を迎えた港区立赤羽小学校の中村美奈子校長に、現在の活用状況や以前との違いについて聞いた。
新築に伴い、すべての教室に加湿器を整備
2023年4月、赤羽小学校は地下2階・地上5階建ての新校舎に移転。環境負荷を低減する自然採光・通風、内装木質化などを多く取り入れ、最新の設備や防災機能を備えた学校施設として生まれ変わった。
その中で、「本校では普通教室や特別教室、職員室など、すべての室内に整備されています」と話すのが、児童や教職員の良好な室内環境を確保するため、エアコンや換気システムとともに整備された業務用加湿器(てんまい加湿器)である。室内の空気を吸い込み、加湿した高湿空気を室内に吹き出す室内直接加湿であることから、空調方式や空調機の運転に左右されずに確実な加湿が行えるのが特徴だ。
また、美観性や静音性(強運転で40dB)にも配慮されており、「エアコンと同様に天井埋め込み式で、加湿器の音は気になりません」と学習に影響することなく、快適に使用できていることを挙げる。
実際に同校が加湿器を使う時期は、12月から翌年の2月末くらいまで。運用は、基本的に各室に設置したリモコンスイッチのON・OFFと強・弱のみで操作できるため、各教員がその日の天候状況に応じて暖房を入れる際、一緒に加湿器を稼働させているという。
教室壁に設置された加湿器のリモコンスイッチ(左)
教室の隅々までムラなく加湿し、低湿度を解消
閉性の高い教室は、冬場に暖房を使うと低湿度を招く。すると、のどの粘膜の防御機能が低下してインフルエンザなどの感染症にかかりやすくさせたり、皮膚疾患や呼吸器系の疾患を悪化させたりすることから、室内湿度を50~60%程度に維持していくことが重要になる。しかし、その対策として使われていたポータブルな加湿器では、加湿性能が十分ではないとともに、フィルターなどにカビや細菌が発生しやすい欠点があった。
中村校長も「以前の校舎では家庭用の加湿器を用意して使っていましたが、加湿できる範囲が限られてしまうことや、教員がそのつど給水や清掃を行う手間もかかっていました。でも今は、スイッチ一つで教室の隅々までムラなく加湿できるようになり、ありがたく思っています」と変化を口にする。
また、職員室等にも整備されていることは職場環境の向上にとっても大きく、健康面はもちろん、乾燥する冬場に多かったコピー機や印刷機などが発生する静電気に悩まされることもなくなったという。その上で、「このような空気調和設備があるおかげで、換気のために窓を開けて寒い思いをすることもなくなり、今年の冬に猛威をふるうインフルエンザによる学級閉鎖も本校では起きていません」と指摘。手洗い・うがいの徹底など基本的な感染症対策に加え、加湿器を始めとした室内環境の改善が確かな効果を生んでいるようだ。