学校の「読書バリアフリー」はじめの一歩 学校図書館10の事例
14面記事
野口 武悟 編著
機器整備や代読サービス提示
読書は心を育て人生を豊かにする。学校でも、読む楽しさを味わい、読書好きな子どもに育ってほしいと読書活動を大事にしている。
しかし、各学級には読書に苦手意識を持つ子どもがいる。それは読書嫌いなのではなく、文字が見えにくく読みにくいのかもしれない。日本語習得が不十分なのかもしれない。多様性の時代。学校には外からは見えにくい事情を抱えている子どもが在籍している。
令和元年に、誰もが文字・活字文化の恵沢を享受できるようにと「読書バリアフリー法」が制定されている。「読書バリアフリー」というと特別支援学校が取り組むことと考えがちだが、全ての学校で取り組むべきこと。
本書では、(1)読書補助具や読書支援機器の整備(2)「バリアフリー図書」の整備(3)対面朗読(代読)などの図書館活動・サービスの提供に整理し、読書環境づくりの具体例を写真や図を用いて分かりやすく示している。
執筆者は、実際に学校図書館の運営に携わって子どもの変化を実感している司書教諭等。限られた予算や施設、人員等、制約がある中で生み出したさまざまな工夫は、一人でも多くの「読めた」という笑顔を引き出したいという思いから。
学校図書館の館長は校長。司書教諭任せにせず、校長も本書を手に取り理解を深めてほしい。「これだったらできそう」ということが見つかるだろう。
(2970円 学事出版)
(正)