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「読む」展示から「体感する」展示へ 今春4月、「領土・主権展示館」がリニューアルオープン

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企画特集

13台のプロジェクターを駆使した大迫力のイマーシブ・シアター

 北方領土・竹島・尖閣諸島などの歴史を振り返りながら、日本が領有する根拠や我が国の立場を展示解説する「領土・主権展示館」。2018年の開館以来、年間約1万人の来館者が訪れ、史料やパネルなどの展示も好評だった。ただ課題は、30代未満の若い世代の来館が少ないこと。そこで、今春4月のリニューアルオープンでは、最新の映像技術を駆使したエンターテインメント性の高いコンテンツを導入。今回のリニューアルのポイントを内閣審議官/内閣官房 領土・主権対策企画調整室 岡朋史室長に伺った。

日本の島々をめぐる状況を実感する体験型展示

 今回のリニューアルのポイントは大きく二つあります。一つは領土・主権をめぐる情勢に関心が低い若者や子どもたちに来てもらうこと。そのために誰もが楽しめる、例えば没入感を感じるような「イマーシブ・シアター」を導入しました。これは1面6メートル×4メートルの大型スクリーンが床・壁・天井の5面を囲み、そこに北方領土・竹島・尖閣諸島の自然や風景を投影するもので、シアターに入るとまさにその島々にいるかのような疑似体験ができます。島々の空を飛んだり、降り立ったり、海に潜ったりしているような感覚を同時に15人ほどで共有できます。
 三つの大画面上(4メートル強×3メートル)に2Dアニメーション映像を上映する「ヒストリー・ウォール」では、北方領土・竹島・尖閣諸島の歴史的経緯が分かりやすく表現されていて、遠い島々に思いをはせながら、身近な自分ごととして考えてもらう第一歩につながってほしいと思っています。
 二つ目が社会科見学や修学旅行の訪問先として選んでもらうことです。先生たちにお話を伺っていると、「児童生徒に領土・主権をめぐる情勢について関心を持たせるきっかけを作るのが難しい」や「クラスに日本以外の多様な出自の子どももいるなかで、日本の領土や主権、海洋についてどのように教えればいいのか」という、悩ましい声が聞こえてきます。そのような悩みを少しでも払拭できるのではないかと制作したのが、「ハンズ・オン・アース(デジタル地球儀)」です。これは地球を模した1メートル程度の球体に地図を投影し、授業で取り上げるべき内容を学習指導要領に沿ってわかりやすく解説するものです。児童生徒自ら考える総合学習や探究の授業ニーズにも対応できると考えています。

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島々の歴史的経緯を各2分30秒ほどで表現するヒストリー・ウォール

地球儀である特性を活かしたコンテンツが視聴できる「ハンズ・オン・アース(デジタル地球儀)」

島を見ると日本と世界が見えてくる

 通常の見学順路は、日本の領土の成り立ちや現在の国際情勢などを説明する「オープニング・ビジョン」に始まり、北方領土・竹島・尖閣諸島の基本的な知識を学習する「北方領土・竹島・尖閣諸島コーナー」→「ヒストリー・ウォール」→「イマーシブ・シアター」→「ハンズ・オン・アース(デジタル地球儀)」、最後に「日本政府の取組」の説明で終わります。見学時間は解説員の説明付きで30~90分。展示館の近くに国会議事堂もありますから、その見学も組み込んだ修学旅行の学習プログラムの一例も参考にしてください。
 今回のリニューアルのあとに、今夏~秋にかけて、もう少し視点を広げた、別の切り口から日本の領土や海洋全般を考え、議論や交流するような拡張部分もオープンさせます。展示としては3面スクリーンシアターやデジタル日本地図、ライブラリーを設置し、レクチャーやワークショップなどを行い、子どもたちや先生たちの交流の場のような施設にしたいと思っています。また、学校団体が昼食をとることができるスペースも広がります。
 先生たちには、東京に来る際や何か出張の折にでも、当展示館にお申し付けいただければ、解説員をつけながら説明していくこともできます。先生たちのお話も伺いながら、当館をより良いものにしていきたい、特に今夏~秋にかけてオープン予定の拡張部分(別館)は交流の場にしたいと考えておりますので、先生たちの意見や感想などを伺いながら色々と進めていきたいと考えています。ぜひ、先生たちには当館へお立ち寄りいただき、いろいろなお話をお聞かせ願えれば、大変ありがたく思います。

領土・主権展示館

・我が国の領土・主権に関する事実や我が国の立場に関する正確な理解を国内外に浸透させていくための発信拠点として2018年1月に開館。
・2025年4月中旬にリニューアルオープン。また今夏~秋にかけて、講義・ワークショップ・昼食スペースにも活用可能な拡張部分をオープン予定。

公式HP https://www.cas.go.jp/jp/ryodo/tenjikan
公式X @ryodosyuken

施設案内

・所在地 東京都千代田区霞が関3-8-1 虎ノ門ダイビルイースト1階
・開館時間 10~18時
・入館料 無料
・休館日 月曜日(月曜日が祝休日の場合はその次の平日休館)、年末年始(12月29日から1月3日)、3月第1週の日曜日は臨時休館
・電話番号 03-6257-3715
・近隣施設 国会議事堂、憲政記念館、文部科学省情報ひろば、千代田区立日比谷図書文化館、日比谷公園、虎ノ門ヒルズなど
・ポイント学習コース(30分)
 展示館の案内 (5分)→展示解説(12分)→映像視聴(8分)→自由見学・質疑応答(5分)【昼食会場として利用可】→次の見学地へ移動
 
 

 https://www.cas.go.jp/jp/ryodo

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