教員・管理職研修アップデート講座 日常業務を学びの場に
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北村 善春 著
学び合う環境の創造を提案
大村はまさんの言葉をお借りすれば、教師という職業の拠って立つものは「子どもに一人で生きていく力をつけること、そのための技術を持っていること」だ。だからこそ、教師には絶えざる研究と修養が求められる。しかるに、現に行われている研修は、果たして期待される効果を上げているだろうか。
本書は、学校現場、教育委員会、教育研究所で重責を担われた著者が教員研修、管理職研修をアップデートするためのポイントやヒント、実践事例を紹介し、「さあ、教員研修を変えていこう!」と呼び掛けるものである。
組織としての学校力の向上は、一人一人の教職員の力量を向上させることだけで達成されるものではなく、実践の改善のための支援やアイデア、フィードバックを双方向で受ける機会に恵まれ、お互いに省察しながら成長できる教職員間の関係性が職場にあるかどうかが重要な要素となる。そうした環境、学び合う基盤を創り出すために、「与えられたもので学ぶ研修から、学ぶ場をみんなで創り出す研修への転換」を提案する。
実践事例も充実しており、校内研修、学校を超えて学び合う研修と勤務校での実践を交互に行う枠組み、CBTを活用した管理職研修プログラムの例などを紹介している。
キーワードは「問うこと」。学び合い高め合う教育現場の創造に生かされることを願う。
(2420円 学事出版)
(浅田 和伸・長崎県立大学学長)