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「主務教諭」創設に反対 上意下達な学校組織を懸念

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主務教諭制度について話す西村さん(右)

現職教員ら会見

 主幹教諭と教諭の間に新たな職を設ける案について2月26日、現役教員らが記者会見を開き、反対を訴えた。学校が上意下達な組織になることを懸念。導入する場合でも、主務教諭の給与に充てるために教諭の基本給が削減されないよう求めた。
 会見には、岐阜県立高校教員で反対署名運動を進める西村祐二さんらが出席。中央教育審議会が創設を提言していた、新たな職「主務教諭」へ意見を述べた。
 主務教諭は、若手指導や校内外の調整役を想定。文科省は職責に見合う処遇として給与表に新たな級を創設する方針。教員給与特別措置法(給特法)改正案と共に国会で議論される見通しだ。
 会見で西村さんは、学校独特の「鍋ぶた組織」は経験年数などにかかわらず、皆同じ立場で意見を言い合えると主張。主務教諭制度の導入は上の人の顔色を伺い、従うことが優先される組織になる懸念があるとした。
 また、同僚性の低下や、主務教諭が業務過多に陥ることが起きかねないと指摘。新たな級を創設するに当たり、給与予算を確保するため、教諭の基本給を削減する自治体が出てくることへの懸念も示した。
 都内で勤務する五十嵐夕介さんは、主任教諭制度ついて、昇任によって責任感が生まれることや若手サポートの一助になることを良い点として挙げた。
 一方で、「主任教諭だから」と過度な職務の分配や、校内の主任教諭の人数によっては分掌主任などを持たない「名ばかり」の主任教諭が生まれて、不公平感が生まれるなどのデメリットも示した。
 明治大学の鈴木雅博准教授は、国の議論でも参考にされた東京都の主任教諭制度を基に説明。主務教諭と教諭では職務に差が生まれにくいにもかかわらず、別の級を創設するのは職務級の原則に反しかねないと訴えた。
 千葉県内の小学校教諭の吉井広人さんは、教職員団体や現場教員の意向を最大限尊重した議論を求めた。
 有志の会は会見の翌日の27日、4万6千筆を超える署名を文科省に提出した。

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