一刀両断 実践者の視点から【第645回】
NEWS
「現実」を学びの素材に
判断や行動によって、その人物の価値観は明確に表れる。これは、私が管理職選考を担当していた際に最も重視していた点である。
兵庫県と千葉県で「二馬力選挙」という前例のない手法を仕掛けたユーチューバーがいたが、両県の対応には明らかな違いがあった。千葉県では最終的に「二馬力選挙」にはならないようである。この結果を、千葉県民として安心した気持ちで受け止めている。
法に抵触しなければ問題ない、あるいは隙間なく立候補を繰り返せば逮捕されないといった仕組みを利用し、彼が何を目的としているのかを考えると、莫大なアカウント数による広告収益が狙いなのではないかと思えてくる。つまり、選挙や有権者を弄んでも違法にならないという現実が存在するのだ。
この問題は、主権者教育の観点からタイムリーな教材として扱う価値があるのではないだろうか。また、トランプ氏の再選により、民主主義のあり方も改めて問われている。
こうした現実を最高の学びの素材として活用し、中立的な視点で展開している授業があれば、ぜひ知りたいと思う。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)