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一刀両断 実践者の視点から【第644回】

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学校と警察の信頼揺らぐ

 学校徴収金1150万円を横領したとして、鹿児島市教委が任用職員を懲戒免職処分としたという。また、「生活費や借金の返済に充てた」との供述が報じられている。さらに、県警の警視による不祥事も明らかとなり、鹿児島県全体が揺れている。
 警察と学校、本来ならば最も信頼され、安全を保証すべき組織が相次いで不祥事を起こしている現状は、県民にとって大きな衝撃であろう。
 かつて、不祥事が相次いでいた時期に、県の責任者からメールを受け取ったことがある。「困っているのですが、先生ならどうされますか?」という問いかけだった。そのとき、私は長年の経験から、こう返信した。
 《源流が汚れれば、下流も汚染される。頭を振れば髪の毛が乱れるのと同じことだ。》
 今回のケースでは「任用職員」とされているため、事務職員であると推測される。しかし、学校事務職がどのような業務を担っているのかを把握している管理職や教育委員会の職員は、あまりいないように思われる。なぜなら、市町村立学校に勤務している学校事務職の統括は県の事務官が担っていることが多いからである。
 実際、私が勤務していた教育事務所では、一人の高齢の事務官が管内260校の事務を管理・指導していた。このような状況では、正常な事務管理など不可能である。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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