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一刀両断 実践者の視点から【第643回】

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学校の個人情報持ち出し

 小学校の教頭が、学校から持ち出した個人情報入りのUSBメモリーを衣類に入れたまま売却してしまったという。幸いにも、買い手と思われる人物が市教委に返却したとのことだ。
 この事例からも、当該校ではUSBメモリーの管理が形式的なものになっていたことが明らかである。
 管理責任は校長にあるため、何らかの処分が下されるだろう。しかし、もし発見されなかったら、そのまま放置されていた可能性が高い。
 さらに、パスワードが設定されていた場合、行方不明のままになっていたかもしれない。
 管理職としての自己管理が行き届いていないことは明白である。
 とはいえ、現在の50代の教職員は極めて少なく、その多くが管理職に就かざるを得ない状況にある。このような背景も、学校の管理体制に影響を与えているのかもしれない。
 以前、警察の拾得物担当者に話を聞いたところ、USBメモリーの落とし物は数百件にも上るという。警察では中身を確認することはなく、そのまま保管され、やがて廃棄されるとのことだった。こうした対応によって、大事に至らずに済んでいるケースも多いのだろう。
 そもそも、USBメモリーを持ち出さなくても済む仕事環境は、いつになったら整備されるのだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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