一刀両断 実践者の視点から【第642回】
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「拡散」の想定を
いじめ認知件数の増加がよく話題に上るが、いじめ行為そのものも依然として深刻である。学校側の対応を問題視する報道が出た。
このような事例は、他の地域でも十分に起こり得る。多くの場合、問題の本質は初期対応の誤りにある。
リスクを回避するためには、常に最悪の事態を想定した対応が求められる。
学校対応のまずさの多くは、言葉の使い方に起因する。言葉が切り取られ、拡散されるからこそ、慎重な対応を心がける習慣が必要である。
対応が遅れ、軽い気持ちで発した言葉が無責任に拡散されることがある。
教員の年齢構成を考えると、経験豊かな教員が減少していく中で、こうした問題は今後さらに日常的に発生すると考えられる。
「誠意はスピード」と言われるが、間違った判断や軽率な発言は、その後の修復をほぼ不可能にする。
米国では、問題が発生すると即座に弁護士を呼び、法的な対応を取ることが一般的である。
人権が尊重される社会では、手遅れになることを防ぐために迅速な対応が優先される。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)