対話「2025年の日本の学校教育」持続可能な未来社会に向けて
16面記事![](https://www.kyoiku-press.com/wp-content/uploads/2025/02/20250217-16-00-451x302.jpg)
多田 孝志・諏訪 哲郎 著
根本的改革の必要性 世に問う
25年前がどのような社会環境だったのか、本書を手にしてふと思い出した。あの頃まさかAIが跋扈する時が来るとは予想だにしなかった。そして今後25年先を考えると、その未来度はさらに加速するだろう。
ところが学校現場においては取り残され感が漂う。近未来の地図すら描かれない。日本の教育はこのままでいいのだろうか。
教育界のオピニオンリーダーであり、持続可能な未来社会に向けて研究を進めてきた多田孝志氏と諏訪哲郎氏。両氏が対話を通して2050年の教育を、近未来の新たな学校を、多方面から大胆に切り拓く。第1部「時代観からみた学校教育の大転換の必然性」、第2部「日本の学校教育が抱える深刻な課題」で丹念に課題を整理し、警鐘を鳴らしつつ、第3部「2050年の日本の学校教育に向けた提案」で、「小出し手遅れ」(Too Little Too Late)ではなく、「大きな飛躍」(Giant Leap)として学校教育の根本的改革を提案し世に問う。教育による持続可能な未来社会に対応した人間の育成こそが、政治・経済をも健全にするのだと。
2050年を生きていく子どもたちに、その時代を生き抜く資質・能力を育てる教育を提供していく責務が大人にはあるだろう。日々に追われ、こなしているだけの教師に必読の逸書である。
(2530円 キーステージ21)
(青木 一・信州大学大学院特任教授)