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一刀両断 実践者の視点から【第632回】

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論説・コラム

子どもの自死

 児童・生徒の自死をめぐり、担当大臣からの緊急対応が出された。これが当たり前の対応である。この優先順位がこれまではあまり感じられなかった。
 学校現場はこうした案件にいつも直面している。教委からの事務的な手立てには限界があり改善や予防はできていない。
 青年の自死が止まらないのは何故だろうか。
 私の手立ては、「命は大切、あなたにしかできない使命があるよ。楽しみ!喜び!感謝して!今に生きようよ!」と、毎日口にする事から始めるようにするのである。
 お経でも祈りでもルーティンがある。飛行機のCAは爽やかな笑顔だが目は真剣であり、危機管理が仕事の大半である為に常にその意識を忘れてはいない。また、ディズニーランドの危機管理も日々の訓練になっている。
 たまにやる避難訓練や不祥事予防の呼びかけでは、雑多な対応があれば忘れてしまうのが当然ではないだろうか。
 危機管理の基本は常に最悪を想定する事にある。よって不祥事は起きるのが前提となる。
 教師は受容をベースにしている為にこの危機管理は疑うという真逆の視点を持たねばできない。
 欲望や失意は目や仕草に現れやすいものである。普段と違う反応の信号は必ず出されている。
 それに気がつく受信機の感度を高め、励ましの元気な声掛けが大きな力になる。死を意識した時に誰かの笑顔が、声が、言葉が浮かぶように、今できる事をやってみたい。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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