小学生のこころを育む放課後生活 こころの居場所となる学童保育・放課後デイって?
12面記事近藤 直子 著
豊かな時間の保障求める
学校週5日制、コロナ禍、家庭経済の格差など、子どもたちの放課後や休日はさまざまな試練にさらされてきた。本書が扱うのは放課後を過ごせる場の一つである学童保育。著者は日本福祉大学名誉教授で、NPOあいち障害者センター理事長。学童保育への関わりは、わが子の学童保育活動がきっかけだ。
全国学童保育連絡協議会発行の機関誌『日本の学童ほいく』に著者が連載したものを「小学生のこころのヒ・ミ・ツ」と「子どもも大人もステキになれる学童保育」としてパート1・2に収め、専門分野である障害のある子どもについての「障害があっても放課後を楽しく過ごしたい」をパート3として構成する”学童保育愛”にあふれる一冊である。
パート1の各章では「学校では見せない顔を地域では見せて『悪にも挑戦する』怪人二十面相」であり「試行錯誤を通して自分ならではの『大きさ』、自分の価値をつかみ取っていく権利を有している時期」にある小学生の行動と心の機微を具体的に語る。
子どもの側にある「放課後に何をどう楽しむかの選択権」が保障され、豊かな時間を過ごさせようと語り掛けるパート2、障害のある子どもが「その子らしく生き生きと楽しく過ごしていく」ための配慮を求めるパート3は、教育に関わる多くの方たちに読んでほしい。子どもにとって、豊かな放課後とは何か、改めて考えさせられる。
(1430円 クリエイツかもがわ)
(矢)