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デジタル、紙 融合教科書を制度化へ

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中教審

 中央教育審議会のデジタル教科書推進ワーキンググループ(WG)は21日、デジタル教科書を正式な教科書として位置付けた上で、紙とデジタルを融合した新たな形の教科書も認めるべきだとする方針で一致した。学習内容に応じて載せる媒体を分けられるようにする。
 次期学習指導要領の実施に合わせて制度改正を進めたい考えで、現行の改訂スケジュール通りに進めば、令和12年(2030年)度にも新しい教科書の使用が始まる。
 この日、文科省が議論の整理に向けた論点の一つに示し、複数の委員が支持した。堀田龍也主査は「紙かデジタルかの二項対立の議論に意味はない。子どものよりよい学びのために、現場の選択可能性を高めることが必要だ」などと述べた。
 融合型の教科書については、紙とデジタルの記述を合わせて学習指導要領の内容を満たす一つの教科書として扱う。教科書の本文などの中心的な記述を紙に載せ、発展的内容や資料などをデジタルに上げることを想定している。
 また論点としてデジタル教科書の使用義務について提起があった。WGでは、使用する学年や教科などを一律に定めず、教育委員会や学校現場が実態に応じて自由に使えるようにすべきだとする意見が相次いだ。
 一方、デジタル教科書を正式な教科書として位置付ける場合、動画やアニメーションなどによる教材部分との明確な線引きも求められることになる。これに対して、検定などの対象となる教科書部分は、QRコード先の内容を含めて、学習指導要領で基づくものに限定することとした。現在の教科書に載っているQRコード先の内容は教材でありながら、教科書採択に影響を与えている可能性があるとして見直しも訴えた。
 この他、紙とデジタルともに記載を精選していくことも提案した。教科書の分量の大幅な増加が学校現場の負担感を生んでいるともされた。WGは次回会合で報告案となる「中間まとめ」を固める予定。

中教審

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