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一刀両断 実践者の視点から【第628回】

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論説・コラム

 シニア層のアルコール依存症が増えているという。それを報じる記事から思い出すことが多くある。
 孤独感の強くなりがちな教師の飲酒運転が途切れることがない。許されないと分かっていても止められない行為がなぜ起きるのだろうか。
 「その場の雰囲気や欲望で少しぐらいはいいのでは」「見つからなければいいのでは」「先輩もやっていたし」など自己都合のよい理由は思いつくだろうが、ルールなのだから言い訳は効かない。
 未来が嘱望されていた青年教師も管理職として手腕を発揮していた校長も、失職していった姿は忘れられない。退職後もやり甲斐を失い急に老け込んだ元校長の容姿を見た時に愕然とする事が多くなったように思えてならない。
 ある新進気鋭の教頭は県教委に勤務していたが、自校の講師が教採に合格したので、有志で祝賀会をした。運転代行が捕まらなかった為に仮眠して車を運転し信号待ちのパトカーにぶつけた。その後、車を置いて逃げ出し翌日出勤していたのですぐ御用となった。
 こうしたあり得ない出来事が止まらない。やはり失うものの怖さや大きさを冷静に判断して行動する鍛錬をしておくべきなのである。
 その後の行方は不明となった。人の良い人物だっただけに哀れで仕方ない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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