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文化創造としての和文化教育 過去・現在・未来の絆を紡ぐ

16面記事

書評

中村 哲 編著
学会の研究成果や展望示す

 和文化教育学会創立20周年を記念して出版した本書は5章から成り、第Ⅰ章は、歴代会長による和文化教育の意義や提言を収録、第Ⅱ章は、研究大会と学会誌の整理・分析から研究面での成果を明かし、第Ⅲ章は、和文化を軸とした教育実践の具体を授業やカリキュラムレベルで提起、第Ⅳ章は、和文化に関わるコンテンツを授業レベルで提示、第Ⅴ章では、これまでの蓄積を踏まえて、研究と実践の両面から展望と視角を示している。
 同学会は、「『和文化の風』を学校に」のフレーズの下、平成17年に「和文化教育研究交流協会」として設立、地域との連携を踏まえた学校教育における和文化教育を提唱、平成25年に「和文化教育学会」と名称変更し、和文化教育の普及と発展を目指してきた。この間に、教育基本法に伝統文化を尊重する教育が明示された。それが追い風ともなって、学会の研究大会開催地となった広島県東広島市や静岡県島田市の一校一和文化学習・実践や秋田県由利本荘市のふるさと学習などは全国的に注目され、和文化教育の大きな風となった。
 先ごろ神戸市で開かれた同学会の20周年記念大会に、初代会長の山折哲雄氏がメッセージを寄せ、大昔から栄えていた「翁」と「童」の文化を今日の社会は大切にしてきたかと反省を促し、少子高齢化の中で活動の枠組みを広げる覚悟を求めていたが、本書を読みながら改めて教育の多事を痛感させられた。
(4180円 風間書房)
(規)

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