一刀両断 実践者の視点から【第627回】
NEWS権力者の心構え
東京女子医大元理事長が背任容疑で逮捕されたという。上司に進言して三回左遷を賜った経験からも、またかとため息が出てしまった。
今回は東京女子医大なので医学界では様々に貢献しており信用度の高い組織と感じていたので残念極まりない。
いつも指摘しているのは、この位置に押し上げた周りのコンプライアンスであり、望ましくない事をしていると感じられた場合への周りの対処である。意見したり進言したりするものは排除されて独裁が始まる。
理事会などからの監視が必要であるが、そのほとんどが理事長の御用聞きになっていたようである。
教育委員や、いじめ調査の第三者委員会の委員に似た状況がないか心配である。
権力を監視または制御するのは、それまでに培われた倫理観や道徳心に間違いはない。しかし、東京女子医大のような事が頻繁に起きてしまう。
道徳が「特別の教科」となり、学習状況を評価するようになったが、評価する方がされている自覚を持つ事が先にある。自己に問う習慣が大切と思えてならない。今回の事件を他山の石としなければならない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)