一刀両断 実践者の視点から【第624回】
NEWSカンニングと自死
大阪の有名進学校でカンニングをした生徒が自殺したとの報道がある。学校側は「指導の際に『卑怯者』という言葉を言わせていたとの証言は得られていない。これまでに同様の指導を受けた生徒が自死等に至ることもなく、男子生徒の自死を予測することは困難だった」と主張しているという。
公立校がこうしたコメントは出すだろうか。私立校ならではの文化が背景にあるように感じられる。
罰として示された内容も反省させる域ではないし、見せしめにするという対応にしか感じられない。
中には写経というものがある。仏教の視点からしてもどの罪人にも慈悲をかけて導くという人権人道の視点からも合点がいかない。
身近に似たようなケースが起きたことがあった。いじめをしていたので教師から指導をされて一人で当事者宅へ謝りに行った。
その際に、母親から叱責された結果、そのマンションの屋上から飛び降り自殺をしたと父子家庭の父親から聞かされた。
こうしたケースは未だ至る所に起きている。そして死因は不明とされているのが人権人道の正しい在り方なのだろうか。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)