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一刀両断 実践者の視点から【第622回】

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行政の敗訴

 長崎県立高校に務め、ボクシング部を日本一に導いていた教員が懲戒免職となった後、この処分をめぐる裁判で県側が敗訴したという。最高裁までもつれた案件であった。
 この記事を読んで思い出す事がある。
 年度末に退職願を出した教員が翌日撤回を申し出た。3月31日と4月1日の事であった。
 行政は「退職撤回は出来ない」と受理しなかった。理由は「後任も配置されていて今から直すのは混乱が生じる」と言うものだった。
 私一人が異論を唱えた。判例を参考にした場合、この程度のものは対応すべきであると考えたからである。上司は聴こうとはしなかった。
 やがて不服となり一年の裁判となり、教委が敗訴した。その間の給与や賠償金が税金から支払われた。
 指摘したいのは判断を下した担当者達に責任は問われないと言う事実である。国家賠償法として、公務員として採用したので明らかな過失が認められなければ自治体が保証すなわち税金で支払うと言う事になる。
 今回のケースで原告への賠償額は億を超えるだろう。本人の無念さは計り知れない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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