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授業スタンダード その展開と教師の反応

20面記事

書評

澤田 俊也 著
「学力テスト」との関係など分析

 授業に不安のある若手教師には有効。授業が画一化し、子どもの実態と向き合えていない―。評価が混在する「授業スタンダード」に焦点を当て、作成意図や教師の受け止め方などを自治体、学校を対象に調査し、その実相、今後の在り方などを解説した。
 教育委員会が作成する「発問」や「板書」の仕方などを盛り込む授業スタンダードの内容と指導文書との関係、「全国学力テスト」の成果指標設定の有無による授業スタンダードの規範性、市区町村や学校での作成状況と、教師たちの受容度合いなどを第1~6章で分析。終章では調査結果を基に、総合考察した。
 例えば市区町村と学校での作成要因は「全国学力テストに関わるものが確認された」が、結果と作成には関連はなく、むしろテスト結果に対する成果指標設定の有無と関連し「設定しているほど、授業スタンダードを作成していることが示された」という。
 教師の受容度については、市区町村教委の作成、あるいは校長の強力なリーダーシップの下で強い権威性を帯びる場合には受容されやすい可能性に言及した。
 授業スタンダードを作成し取り組んだものの、弊害が見られたため、目指すべき子ども像、学力とは何か―に立ち返り、見直しを図った自治体のケースが紹介されている。設定後の効果を検証し、絶えず見直す責任があることを示唆する事例として印象的だ。
(2200円 人言洞)
(吹)

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