万博は国際理解教育の貴重な機会
1面記事日本教育新聞社社長 小林 幹長
謹んで新年のご挨拶を申し上げます。
昨年は元日に大規模な地震が北陸地方を襲いました。現地では、学校再開に向け多くのご尽力があり、また、各地の教職員も足を運ぶなどして支援に当たりました。被災した方々にお見舞い申し上げるとともに、1日も早い復旧・復興を願うばかりです。
目を世界に向けると昨年もロシアによるウクライナ侵攻が続き、パレスチナ、ミャンマーなどの中東・アジア情勢は混迷を深めています。
このような中で我が国は戦後80年を迎えます。この間、広島・長崎、沖縄をはじめ、多くの子どもたちが学校教育活動の一環として戦争の傷跡が残る地域を訪ね、記憶に刻んできました。
昨年は、日本原水爆被害者団体協議会がノーベル平和賞を受賞しました。核兵器のない世界を実現するために訴えてきたことを、いつまでも伝え続けることの大切さを改めて感じたところです。
そういう意味でも、今年は世界各国から英知が集結する大阪・関西万博が開催されることには大きな意味があります。情報化社会が一層進展する中、世界からもたらされた実物を通して、世界への理解を深める貴重な機会となることでしょう。
子どもたちの興味・関心や可能性を伸ばすのに効果的な学びの場、教材となる最適なイベントです。教育界を挙げて成功するよう応援していきましょう。
さて、昨年を振り返ると、教員不足、不登校といった課題はより深刻になりました。同時に、より豊かな教育環境の提供に力を入れる教職員の存在は大変に心強いものです。
教員不足をめぐって、政府は年末の予算編成の過程で、処遇改善の具体化、教職員定数の改善、35人学級の拡大を決めました。
教員不足が解消するまでには年月が必要ですが、本格的な処遇改善に期待するとともに、これからも業務負担をより軽くするための方策を進めていかなければなりません。
地方行政でも、教員採用試験の工夫に加え、独自に少人数学級を導入する動きもあります。教員を補助する職種が増え、教員を支える体制が充実してきました。
長く財政難が続いてきましたが、税収増の自治体は珍しくありません。今こそ、人への投資に力を入れる時でしょう。
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新しい年が、教育に関わる全ての皆様にとって希望に満ちた年となることを切に願います。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます。