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一刀両断 実践者の視点から【第619回】

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論説・コラム

権力者の慢心と法治国家

 日本には不逮捕特権という制度がある。法治国家と言えるのだろうか。
 権力を持つ事で人は変わる。部活で成績を上げたとか、昇格して権限を持った事により人格さえも変容する。いい気になって信頼を失うという状況は会社組織でも同様である。
 先日一代で地元では信頼を得て築き上げた会社の社長の体験談を聴いた。成功も発展も自分が頑張ったのだからと慢心を起こして社員を見下す自分があったと回顧していた。
 家族の指摘も聞かないで大切なものを次々に失ったと言うのである。
 法も人の法、すなわち自制する道徳性を高めておかないとその先には破壊や崩壊が待ち受けているからである。
 しかし、この道徳性が高慢になったり、自負心が高くなり、私たちは立派な事をしていると言う他を見下し、相手に問題がある様にしてしまう聖人君子のメッキが見え隠れする。この空洞化に若手教師は偽善を感じ、閉塞感は感じても希望は感じない。
 それにしても選挙よりも権力、権力よりもモラルを世界の基盤に据えないと、多くの負の連鎖は止められない。
(おおくぼ・としき 千葉県内で公立小学校の教諭、教頭、校長を経て定年退職。再任用で新任校長育成担当。元千葉県教委任用室長、元主席指導主事)

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